インベンター、ディプロイヤー、オプティマイザー
ビーン・カウンターと呼ばれて
ビーン・カウンターはMBA不要論に似ていると思う。結局のところ誰かがやらなきゃいけない仕事、考え方、要素で、もう少しザックリしたカテゴライズで話が出来ればスッキリするような。と、思って見つけたのが下記文章。
ここで、参考になるのがジェフリー・ムーアによる組織リーダーのモデルです。詳しくは拙訳『エスケープ・ベロシティ』(Kindle版も出ました)の第6章「実行力」を参照して下さい。
ムーアによると組織のリーダーは以下の3タイプに分かれます。
インベンター:新しい商品やサービスを野性的な勘で生み出すことができる能力を持ったリーダーです(いわゆる「発明家」に限定されないので敢えてカナ書きします)。良い物ができてしまえばそこで満足でそれをどう商売にするかには関心が薄いことが多いです。
ディプロイヤー:インベンターが作り出した新しい商品やサービスを広く普及させていく能力を持ったリーダーです。具体的にはパートナーの獲得やエコシステム作りを得意とするリーダーです。
オプティマイザー:ディプロイヤーによって成功に導かれた商品やサービスをコストを抑えつつ安定的に提供していく能力を持ったリーダーです。俗に「ビーン・カウンター」とも呼ばれるタイプです。地味ではありますが、収益を生み出すリーダーであり企業の成長にとって不可欠です(オプティマイザーが生み出す収益があってこそインベンターが次のイノベーションに専念できるのです)。
栗原潔 - IT弁理士日記
『セカイカメラの終わりとムーアの組織リーダーモデルについて』
あくまで要素のひとつであるということ
この書き方、オプティマイザーだと、僕は納得しやすい。あの「ビーン・カウンター」はただただ「数値屋」と愚弄するだけの書き方で、どうしてそういう人が必要なのかを一切無視した書き方だから。無論、ただ豆を数えることだけを仕事にしてしまっている人もいるのだろうが、結局のところその場合の悪人は豆を数えている張本人ではなく、豆を数えることを仕事にしてしまった組織である。では、なぜそんな組織運営が生まれるのか。
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ビーン・カウンターが生まれる理由
その組織運営にならざるを得ないのは、おそらく「定期異動」とか「ジョブローテーション」と呼ばれる異動。ピーターの法則*1にもある通り、結局エンジニアとして有能な人間の評価を評価する際、組織は給与か立場(役職)でしか報いることが出来ない。有能なエンジニアが有能な管理者であるというのは必ずしもイコールではない為、「あの頃はバリバリ仕事していて素敵だったのに…」なんて人が生きたゾンビとなって管理者面しているのはよくあること。と、これはあくまで今までの働きが評価されて、幸運なことに同部門での異動(出世)が評価に報いる形だったもの。前述の定期異動とかジョブローテーションというのは逆に、「ここでこれだけやれたんだから違う部署でも同じようにやってみろ」というもの。これがビーン・カウンターを生む所以だと思う。組織業務をものすごくざっくりと分けると、「マネジメント」と「実務」になる。そしてこの定期異動やジョブローテーションの対象者がマネジメント側の人物だったとすると、実務屋は突然すげ替えられた上司、何もわからない上司の元で部署が以前と変わりなく運営出来るよう、過去のやり方で上司にうまく回る方法を伝授することになる。すると結局「おまえは毎回このやり方しか知らないのか、だからこの部署はダメなんだ」などというアクロバティックな方法で評価が下げられ、挙句のはてには「ビーン・カウンター」なんという蔑称に行き着く。部下にしたら知っている方法で最大限会社のパフォーマンスを下げずに引き継ぎ期間を処理しようとしただけなのだが。
結論
なんかビーン・カウンターっていう言葉につっかかり続けたけど、その組織が悪い!ビーン・カウンターやその言葉が悪くない!なんていう結論になりそうでなんだかスッキリした自分。これはアレだな、上司が変わってそんな仕事ばっかりまたさせられてる自分に対する慰めが目的だったのか。もういいか、ちゃんと仕事しようw