決まったら考えるよ。

思いついたことそのまま書く。髭剃り、読書、仕事、考えたこと、調べたことを備忘録代わりに。慶應通信で大学生もやっています。

住宅ローン、変動金利と固定金利のコスパ考察(切り替えずにどこまで走れるか)

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 プロがうじゃうじゃ居る界隈なので出来ることなら触れたくはないのだが、自宅購入時、家でポチポチとExcel触っていたらシミュレーションが簡単に出来たことを思いだしたので、簡単な考察を入れておくことにした。

※8月23日 一部追記




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どちらの金利パターンを選択するのか。

 住宅ローンを借りる際、必ず全員が通る道、迫られる選択。「固定金利にするのか、変動金利にするのか」というもの。ちなみに僕は変動金利を選択した。利率で見ると大した違いじゃなけれど、変動金利でずーっと金利が底に張り付いていた場合と固定金利で払い続けた場合の利息費用を計算したらちょっとギャンブルしてみたくなったから。

またいつものExcel直貼りで恐縮だが、計算結果はこちら。*1

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左側の表が変動金利を設定した際の試算であり、右側の表が固定金利を設定した際の試算となる。それぞれの表は左から「回(支払い回数)」、「利率」、「返済額」、「利息相当額」、元本相当額」、「残高」となっている。*2

 ここで当時僕が着目したのは利息相当額。変動金利であれば3,078千円ほどで、固定金利だと9,487千円、その差額なんと6,409千円である。アホな答えの出し方だが、「金利が35年間上がらなかったあらその差額があなたの物に!やりますか?やりませんか?」と問われれば「やるはwwwwwww」ってなるでしょ?(*´・ω・)(・ω・`*)ネー


そして昨今の利上げ騒動

 適切なニュース記事が見つからなかったので言及は割愛するが、「利率が上がるよ!」とか恐ろしい単語がニュースでも飛び交っているのは聞いたことがある方も多いと思う。変動金利を選択している方々はきっと利上げに戦々恐々としてるでしょう。僕もそのひとりです。で、茹でカエルになるワケにもいかんので、変動から固定へと逃げる引き際もある程度考えておかねばなるまい。


逃げるタイミングが来るのかどうか、過去事例より考えてみる。

 住宅ローンは「短期プライムレート(以下「短プラ」)」というものが基準となって決定される。*3

 現在(記事執筆日時:2018年8月19日)は2.475%と某銀行の基準金利が設定されている。ここからやれ給与振り込み口座の設定、水道光熱費支払口座の設定、ローンカードの作成とか色々な条件をクリアすると…

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住信SBIネット銀行 ネット専用住宅ローン

こんな金利になったりする。なので短プラの推移を見て(変動金利)>(現在の固定金利という敗北条件を満たす日がくるのかどうかを過去事例から探る。


という訳で過去の短プラ推移をグラフにしたものがこちら。

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2007年3月に短プラが1.875%まで上昇している。これは見事にサブプライムローン崩壊からのリーマンショック。ここが現時点の短プラ最高点となるワケだが、この当時の住宅ローン基準金利は今の原理で考えると2.875%程度ということになる。つまり現在の基準金利と比較して0.400%の増加であり、先ほどの変動金利に加算すると…

「0.828%」

という数値が弾き出される。あれ、これ固定金利20年より低くね?w

という訳でここで簡易的に導き出された結論は…


リーマンショッククラスが起きても固定金利を超えることは無いんじゃないの?」


というもの。過去事例から考えると固定金利を選ぶと負けみたい。良し、オレ勝ったっぽいぞ。*4*5


とはいえ、万が一にも切り替えるタイミングが来るかもしれないので損益分岐点を算出する。

先の条件下で変動金利と固定金利の利息差額をグラフにしたものがこちら。


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オレンジ色のグラフが利息差額の累計(右軸数値参照)、青色の棒グラフが単月の利息差額(左軸数値参照)。元本が減るにつれ利息差額は当然ながら縮むこととなる為、青色の棒グラフは右肩下がりに、反対にオレンジ色の累計利息差額は右肩上がりに増加していくことになる。

 で、損益分岐点を算出する際の『益』として認識されるのがこのオレンジ色のグラフ。これは固定金利と比較して「払わずに済んだ利息」であり、この益が「固定金利に切り替えることによって支払わねばならなくなった額」という『損』と比較してどこで逆転してしまうのか、ということを考える。

11年目突入から利率が上がる場合の損益分岐点

何しろExcel手作業計算なので前提条件が少し煩わしいが、10年間(120ヶ月)は最低金利で支払ってきたが、11年目(121か月目)から金利が上がってしまった!というリーマンショック真っ青の事件が起こった場合の損益分岐利率は…


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約2%でした。*6

マジでリーマンショック真っ青の事件が起こらないとこの利率には達成しない気がする…。ちょっと現実的じゃないな。という訳で利率が上がるタイミングをもう少し前にしてみる。ちなみに月額支払は21,098円上昇する。結構痛い。


6年目突入から利率が上がる場合の損益分岐点

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約1.55%でした。

このあたりから「あ、ありそうやな」というラインに入ってくる。しかし現時点の固定金利が1.26%であるということを考えるとまだ変動放置で問題無し、ということになる。月額支払は17,837円増加。オレの小遣いは吹き飛ぶ。


4年目突入から利率が上がる場合の損益分岐点

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約1.42%でした。

うむ。これでもまだ高い、だいぶ余裕がある気がするなぁ。月額支払は16,744円増加することになる。

各チェックポイントからのまとめ

  1. 4年目突入時点で、利率が1.42%を下回っていたら変動で勝利
  2. 6年目突入時点で、利率が1.55%を下回っていたら変動で勝利
  3. 11年目突入時点で、利率が2.00%を下回っていたら変動で勝利

と、こんな形だろうか。

裏を返せば、

  1. 4年目突入時点で、固定利率が1.42%をだったら固定に切り替えでトントン
  2. 6年目突入時点で、固定利率が1.55%をだったら固定に切り替えでトントン
  3. 11年目突入時点で、固定利率が2.00%をだったら固定に切り替えでトントン

と、読み替えることが出来る。

ちなみに留意すべき点としては、「金利が上昇すると月額の支払いも上昇させる」という前提での試算なので、そもそもその月額支払が可能な額に収まっているのかということを考えるのは必須である。

 また、現実世界であれば住宅ローン控除、繰り上げ返済など様々なテクニックが存在する訳で、それらを利用することによってもっと損益分岐点(というか許容利率)は上昇するはず。大事なのは利率変動に際し「どう動くべきか」という指標と奥の手をいくつか持っておくことだわな。あとはこの数値はあくまでも勝利条件であって、自ら動くポイントの算出には至っていない(詳細な変動金利→固定金利への変更はまだ試算していない)ので、少し追加でまた検証が必要ではある。

 が、まぁ自分用の「どう動くべきか」という観点の整理を終える。あくまで僕個人の試算であり、なんら皆様方の決定に責任を持つものではありません。ご容赦ください。



家を買うときに「お金で損したくない人」が読む本

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*1:借入金は40,000千円で設定

*2:支払回数はともに420回(35年フルローン)、繰り上げ返済はしない、金利変動は発生せず、元利均等返済という前提条件

*3:だいたい短期プライムレートに1%を加えた金利が基準金利くらいの水準

*4:とはいえ、短期プライムレートだけが住宅ローン金利に影響を及ぼすワケでもないし、変動金利と固定金利の利率差が常に一定というのもまたそんなワケないが

*5:そしてあくまでも様々な経済活動の結果算出されるのが短プラであって、その要因である株価や為替、そのあたりを主軸に考えるとまた別の角度の「逃げるべきタイミングが来るのか?」という考察が出来る

*6:ソルバー使っても解決できなかったので人力探索。その為、「約」の表記となります…