決まったら考えるよ。

思いついたことそのまま書く。髭剃り、読書、仕事、考えたこと、調べたことを備忘録代わりに。慶應通信で大学生もやっています。

教養としての「ローマ史」の読み方

教養としての「ローマ史」の読み方 本村 凌二 (2018)

教養としての「ローマ史」の読み方


雑なあらすじ

  • 古代ローマの興りから滅亡までを皇帝という目線から
  • 教科書とはちょっと違う目線で、「流れ」に重きをおいて
  • 広く浅く、よってタイトル通りローマというものに関しての教養を得るにはうってつけ




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読むに至ったきっかけ

 僕は理系である。この言い方にイラッとすることも多いが、得意科目や得意な仕事から見るとこのカテゴライズに収まるのは間違いないと自分で認識している。そしてその「理系」というものに惹かれたきっかけは物理が好きだったから、というものと、「歴史とか覚えるの嫌い」だからやりたくない→よっしゃ理系。というものである。

 しかし最近慶應通信で「西洋史」の授業を受けた。その結果、先生の話が面白かったというのもあるが、妙な興味が沸いてきたのである。様々な国、トップの興り方、運用される制度、政治的なやりとり――――なんだか全てが会社で起こっている事件と紐づきそうなのである。これ、ビジネス書として使えるんじゃないの?

雑な感想

 ビジネスには…「使えはしないが、ヒントとなるものが数多く潜んでいる」というのが読了後の感想。全部直接的には使えないのである。当たり前だが。だがちょっとアレンジしたら全部使えそうなのだ。このモヤモヤ感がおそらく人類の進歩の結果(何?)

気になった言葉たち

互いに共通するものを持たない国民は結びつきが弱く、愛国心も生まれない

これは属州生まれのディオクレティアヌスがローマ古来の神々に対する信仰を復興させ、自分を最高神ユピテルの子とすることで、民衆に共通の信仰心を持たせるとともに、権力と権威を皇帝に集中させることを思いつき、それを通じて国内の人々をローマ人として結びつけた際の考え方。

 以前少し記事にしたことがあるが、会社における経営理念のようなものである。

www.siuso.online

 これはサピエンス全史を読んで思いついて書いたつもりだったのだが、考え方の起源はどうやらローマだったらしい。


なぜ高い技術が効率化のために用いられなかったのでしょう。

それは、面倒くさいことや大変なことは、全て奴隷にやらせていたからなのです。

人はどんなに高い技術や教養を持っていても、改善の必要性を感じなければ、それを活用しようとは思いません。つまり、自分が大変な思いをしているわけではないので、合理化し、経済活動を発展させようという発想自体が生まれなかった、ということです。

奴隷制社会が、イノベーションに繋がるインセンティヴを失わせ、その結果、経済成長を目指すという観念すらないまま、経済の衰退が起きていったのです。


ちょっと長い引用になってしまったが、この文章を読んで( ゚д゚)ハッ!とさせられる方は多いんじゃないかと思う。生産性の向上だとか、働き方改革だとか、綺麗に聞こえるけど何かうまくいかない予感しかしないあの言葉たちで溢れる今の日本社会とそっくりなのである。僕はサラリーマンであるので、労働者であり、それは会社と資本家の奴隷である。無論、資本主義のこの世においてそれはもっとも効率の良い組織構造であり、それを奴隷制社会と言ってしまうのはちょっと違うかもしれないけれど、日本社会の下部組織である会社にもそっくりなのである。

 悔しかったら経営者になりゃあいいんだけどさw


終わりに

 たった一度の読了で内容を覚えきることなど到底出来ず、刺激が強すぎて様々な方向性に思考が飛ぶことになるため、ゆっくりと2~3回読みたいと思った本。そして今はまだ出来ないけれど、落ち着いたら「ローマ史から見る自社の滅びの兆し」みたいなレポートを書いて社内にバラまいてやろうかと思ったw


教養としての「ローマ史」の読み方

教養としての「世界史」の読み方