決まったら考えるよ。

思いついたことそのまま書く。髭剃り、読書、仕事、考えたこと、調べたことを備忘録代わりに。慶應通信で大学生もやっています。

ものの見方が変わる 座右の寓話

ものの見方が変わる 座右の寓話

戸田智弘 著

ものの見方が変わる 座右の寓話

雑なあらすじ
  • どこかで聞いたことのある誰かの座右の銘や、昔話の集合体
  • 一つ一つの話が長くないので、サラッと読みやすい反面、教訓めいた解説が頭に入りにくい
  • 教訓の長さに著者の好みが現れていて、「もうこの話はいいから」なんてシーンも
雑な感想

 雑談、というか雑学の種としては非常に優秀。某2chで散々見たあのコピペの原型に出会えたり、いつか職場で部下に向けてこの話をしてやろうかな、という程度に幅広く、様々な寓話が収録されている。また、一節の構成が寓話パートと解説パートに別れ、ひとつひとつの寓話をしっかりと解説してくれる。だからこそ、「なんとなーく知ってましたガハハ」というレベルからひとつ上の次元で知ることが出来る。いくつか例を上げてみると…

三人のレンガ職人

旅人が、建築現場で作業をしている人に「何をしているのか」と質問した。 一人目の作業員は「レンガを積んでいる」と答えた。 二人目の作業員は「壁を作っている」と答えた。 三人目の作業員は「大聖堂*1を作っている、神を讃えるためにね」と答えた。

 これは全員が「レンガを詰む」という同じ仕事をしているのに、「何をしているのか」という質問の答えが異なっている。回答のレベルが違うのである。一人目は、「レンガを積んでいる」とう行為そのもの、二人目は「壁を作っている」というレンガを詰む目的を、三人目は「大聖堂を造っている」という壁を造る目的に加え、「神を讃える為」という目的をも付け加えている。

 これは仕事において、「誰かに何かを教える」という時にとても役に立つ考え方だと思う。例えば何かのデータを収集する時、

「これ、このデータをここに打ち込んでおいて」と、教えられた人と、「このデータを集めて、新商品プレゼンの資料に使うから」と教えられた人、 はたまた「このデータを集めることが新商品開発、会社の未来を切り開くことになるから」と、教えられた人では当然ながらその品質は桁違いになろう。

 誰だって「ただやっとけ」なんていう目的が見出しにくい仕事は嫌だし、嫌だからこそ絶対に効率は上がらないだろうから。ちなみにこの話は「真実の瞬間―SAS(スカンジナビア航空)のサービス戦略はなぜ成功したか」にも似たような形で記載があり、僕の今の部下教育のひとつの軸になっている。

その他にも、「仕事」とか「家庭」とか色々なバックグラウンドにしっくりくるであろう寓話が収録されているので、なんだか「あぁ、これで良かったんだ」なんて思えることが多い本でした。反面、「へぇ!」なんて話が少ないので、そこだけは残念だったかもしれない。「ものの見方が変わる」ってのはちとハードルが高い題名だなぁ。

ものの見方が変わる 座右の寓話

ものの見方が変わる 座右の寓話

*1:ローマ・カトリック教会における司教区の中心になる教会堂のこと。初代の大聖堂が作られたのは四世紀だと言われている